男の性行動を分析する

男って何? 男の性行動を分析します

快感を求める女は、男にとって恐怖と嫌悪の対象となる

森岡正博の「感じない男」が、男の心理を描いたのに対して、上野千鶴子「スカートの下の劇場」は、女の心理を描いた傑作だ。女でない私には、理解できない面も多いが、20年以上も前に、現在の状況を予告していた。今やネットは「セックスに満たされない女の声」で溢れている。「彼とのセックスが、ぜんぜん気持ちよくない」という書き込みは至るところに認める。



セックスが気持ちよくないことなど、男にとっては当たり前だ。もともと気持ちよくないものを、「気持ち良い」と教え込まれているだけだ。若者が「気持ちよくない」と声を挙げると、年配者が「そんなものだ。気持ちよくなる」とたしなめる。そしていつの間にか、これが快感だと錯覚する。

 

本書の説明に移ろう。

上野千鶴子は言う。「今や、セックスのゴールは、男の快楽から、女の快楽に移ってしまった。

そして、ゴールに達したかどうかを決めるのは、男でなくなってしまった。いいセックスは、女が決めるのだ。


この背景は、女が、快感の自由を与えられたことだ。欲望を自由に追求できるようになった。このような自由は、同時に、女のオーガズムへの強迫観念を生み出した。

 


女は、自分の快感に満足できず「もっと『すごい快感』があるのではないか」と探し求める。「おかしい、私はまだゴールに達していない」というわけだ。情報化時代には、「他の女がもっとすごいオーガズムに達した」という話はいくらでも転がっている。女のオーガズムを決めるのが、自分自身なのに、女自身、もはや本物のオーガズムと決められなくなっている



一方で、男が快感を与えて、女が快感を受け止めるという構図は、依然として保たれている。その結果、女は、自分がオーガズムに達することが出来ない理由として、男を責める。そして、男を次々に交換する。どこかに、本当のオーガズムを与えてくれる男がきっといるに違いない、というわけだ。



この心理を、ニンフォマニアという。異なる相手と頻繁に性行為を繰り返すことで、自己のアイデンティティーの確立を目指す心理だ。本当のオーガズム与えてくれる「本当の男」の存在により満たされる、本当の自分をみつけたい。上野千鶴子は、ほとんどの女たちに、ニンフォマニアのような遍歴が始まるという。



しかし、男は「女の現実離れした欲求」に応じることはできない。女の「理想の男」に比べて、「現実の男」がずっと劣っていることは、男たちはよく分かっている。そして男は、女の欲望が渦巻く世界から撤退する。

 


つまり女は、「お前は、快楽というゴールを私に与えてくれるか?」という強迫を突きつける存在になった。実在する女は、男にとって、もはや恐怖と嫌悪の対象でしかない。


そして男は、現実の女とのセックスに興味がなくなる。自分に脅威を与えない、架空のヒロインを見て、性的な欲望を満たすようになっていく。ロリコンになる男も続出する。

 

 

ここまでが、上野千鶴子の説明の概略だ。20年以上も前に、すでに現在の状況を予告していた。特にロリコンが生まれる原因の説明は、森岡正博の「感じない男」にある「無垢な女に乗り移りたい」という男の体の否定説よりも、「脅威を与えない存在を、欲望の対象にする」という現実の女からの逃避説の方が私にはしっくり来る。現実と離れた世界という意味では、女のBLに通じるものだ。


上野千鶴子は予言する。そのうち遠からず、自分のカセットでは、同じ曲しかならないことに気づき、女は、セックスのプロセスを重要視するようになると。しかし今は過渡期だ。現実のセックスは「女の欲望」で溢れている。


私は、女とセックスしたいと思わない。大学時代からそうだった。もちろん、綺麗な女を眺めるのは、興奮する。しかし、その女と付き合ったり、セックスしたいという考えは、全く浮かんでこない。この心情は、草食系男子と言われるのだろう。なぜ、自分が、そう思うのか理由が分からなかった。女とセックスする、という考えに嫌悪感すら湧いてくるのだ。

 


その理由が本書を読んではっきりした。現実のセックスが「女の欲望」で溢れており、セックスのゴールを女が決めていることを、無意識に理解していたからだ。自分が女にとって、「理想の男」になれないことが分かっていたからだ。


しかし、一方で、上野千鶴子の言うように、セックスのプロセスそのものに価値をおく女もいるのだ。ニンフォマニアになっていない女だ。オーガズム強迫症になっていない女だ。セックスで男を責めることはない。

 

私は、無意識にそういう女性を妻に選んだようだ。妻から、これまでに一度も「セックスで満たされない思い」を言われたことはない。いつも「気持ちよかったよ」としか言わない。こちらは何が気持ちよいのか分からずにけむにまかれる。

 

今でこそ、快感を与えているだろうが、最初は何の快感も伴わない、つまらない自分勝手なセックスだっただろう。さらに、私は何度も膣内射精できずに力尽きた。それらを何とも思わない妻に、救われた。全くトラウマにならず、良い思い出になった。ニンフォマニア」となっていない女は、男を幸せにするのだ。

 

スカートの下の劇場 (河出文庫)

スカートの下の劇場 (河出文庫)

 

 

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