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「セックスレスな男たち」 脳がエクスタシーを感じる

家田荘子の「セックスレスな男たち」を読んだ。20年以上も前に、男のセックスレスの問題を考えた家田荘子は、先駆的だった。本書では、30代の男のセックスレスが取り上げられている。30代後半でセックスレスになりかけた私には、本書の男たちの言葉は共感できる。

本書で残念だった点は、家田荘子は「セックスは気持ちいい」という考えに囚われていることだ。「セックスは気持ちいいのに、なぜ男はセックスしないのか?」としか考えていない。「男にとってセックスが気持ちよくないのではないか?」と疑うこともない。女である著者にとって、セックスは快感だ。一方男では、年齢とともに性欲や快感が大きく変わる。そのような男の心理に踏み込めなかった。そのため考察は表層的である。バイアグラを購入する中高年男性は、勃起と射精が失われていく老化に抗う姿なのに、ギトギトしたエネルギーが溢れていると誤解する。そして30代の男性がセックスしない原因を、面倒くささや、仕事に性欲を奪われたと、ありきたりな結論で終える。

セックスにおける男の快感について、本書から20年経つ間に理解が進んだ。森岡正博が「感じない男」の中で、射精後の虚無感を言語化し、射精が必ずしも気持ちよくないことを世に知らしめた。そしてネットで、男の射精が「賢者タイム」という不快な余韻を残すことが、共感をもって広く受け入れられた。また「女のオーガズムは、射精よりはるかに大きな肉体反応を生み出す」ことも、エロ動画の普及で誰もが知ることとなった。その結果、射精の快感を高めようとオナ禁に励んだり、ドライオーガズムを求める男が溢れている。つまらない射精を捨ててセックスレスになる一方で、男たちは快感を高めようとあがいている。

本書の中で、ある男が19才の頃を振り返って「めちゃくちゃセックスしてた。でもあの頃のセックスは、出しているだけ。女は道具にしか思っていない」と語る。若い男のセックスとしては当然だ。男がセックスするのは、気持ち良いからではない。射精してスッキリしたいからだ。ムラムラして出すだけの射精は、30代では減ってくる。射精への欲求が減れば、肉体的な快感が乏しい男は、もはやセックスに目を向けない。男で生涯変わらないのは、頭の興奮だけだ。

本書の中で、ある男が「脳がエクスタシーを感じるから、セックスする必要がない」と述べている。これこそが男の本質だ。男が何時間でもエロ動画を見られるのは、脳がエクスタシーを感じているからだ。しかし本書では、「脳がエクスタシーを感じる」ことを、新鮮な言葉と言って片付ける。また本書で、「時代の先端機器で男がコントロールされている」と述べられている。まさにそのとおりだ。男たちは、エロ動画からアブノーマルな興奮感を好きなだけ得られるようになった。性風俗も多岐にわたっている。

すなわち、男たちのセックスレスの原因は、「射精のしょぼい快感」に固執せずに、「脳のエクスタシー」を求めるようになったことだろう。当然ながら、妻とのセックスでは「脳がエクスタシーを感じない」。生身の女とのセックスから「脳がエクスタシーを感じる」のは不倫か、年がずっと若い女とセックスする時だけだ。

これほど簡単に「脳がエクスタシーを感じられる」時代に、セックスレスを解消する容易な方法はない。セックスとは、「肉体的な快感」を介した男女のコミュニケーションだ。夫と妻が、自分の「肉体的な快感」を言葉で伝えあい、互いに分かり合う過程を楽しんでいくことしか、解決策はないのではないかと思う。

 

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