男の性行動を分析する

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女が気づいていない、男の「女の快感」への劣等感

女のオーガズムは、男のオーガズムより数倍気持ちよい」という表現をいたるところに見つける。私がその可能性に初めて思い至ったのは、「女のオナニー動画」を見た時だ。私が中高校生であった頃は、エロ本でオナニーする時代だった。動かない裸体は、見られるだけの対象だった。しかし大学に入ってPCを手に入れ、初めてエロ動画を見た。オナニーはもちろん毎日していたが、男子校で育った私は、その時初めて、女がオナニーすることを知った。


 
その動画では、女が喘ぎ声をあげながら、激しく性器をこすっていた。そして「イク」という叫びから絶頂が近いことを知った。女は身体をぶるっと震わせ、恍惚とした表情を浮かべた。そして、体の痙攣がしばらく続いていた。女が快感に悶える姿は、18歳まで性情報に暴露されてこなかった私には、あまりにも衝撃であった。現在の中高生は、女のオナニー動画などスマホでいくらでも見えるだろう。しかし、私が「女のオーガズム」の存在を知ったのは、その時が初めてだ。もちろん自分のオナニーから、射精が気持ちよいことは分かっており、それが「オーガズム」と呼ばれていることは知っていた。しかし、女は男と同じ感覚を味わい、精液の代わりに愛液を出すと思い込んでいた。
 


女は、清楚で美しくにこやかな表情を浮かべているものと思い込んでいた私は、日常の姿からは想像できないような表情で快感にもだえる姿に、見てはいけない裏の顔を見てしまったような感情を覚えた。そして、とても興奮した。それ以来、「オナニーする女の姿」を見て、自分もオナニーするようになった。
 


その一方で、「女のオーガズム」を見た結果、それまでになかった感情が生まれた。自分の射精と比べてしまったのである。画面の中の女が快感に悶える姿は、自分の射精とは全く異なっていた。愕然とした。
 


確かに、射精は気持ち良いが、せいぜい「うっ」と声が出ればよい方だ。一方、女は、喘ぎ声をあげている。女の体が、絶頂時にビクッと震えるのに対して、自分の体は何も変化もない。ペニスがむなしく痙攣するのみである。女は、絶頂時に恍惚とした表情を浮かべているのに、それを見ている自分は、射精した瞬間ですら、冷静な表情で動画を見ているのだ。
 


女のオーガズムに対して芽生えた劣等感は、まず、女の快感を否定したいという無駄な努力につながった。そのような私の気持ちを癒やす文章で世の中は溢れていた。「女は、感情を外に出す生き物だから、喘いでいるだけで、別に気持ちよくない」とか「女は誰でもオーガズムを感じられるわけではない」など。しかし、心の中では信じられなかった。多くの「女のオナニー動画」を見た。演技でないかと疑い「日常のオナニー」を集めたものや「盗撮による本当のオナニー」を称するものなどいろいろ見た。確かに肉体反応が小さい女もいる。そのような女を見つけると安心したが、動画の中の女のほとんどは、私の肉体反応を上回って、快感に悶えていた。
 


一方で、射精も、客観的に見れば気持ちよさそうな肉体反応を伴っているかもしれないと考えた。そこで、男が射精する動画も見た。精液の飛距離を競い合うバラエティのような動画は今でも覚えている。白線の前に一列に並んだ男は、順番にペニスをこすって射精する。男たちは表情ひとつ変えずに射精し、何事もなかったかのように、列の先頭を去る。残るのは、楽しそうにAV女優たちが笑っている声だけである。これらの動画から、「男の射精は、女のオーガズムよりも劣っている」ことを確信した。


 
女のオナニーを見ながら、画面の女が絶頂に達するタイミングに合わせて射精するオナニーの日々が始まった。そして射精するたびに、自分の射精の快感の貧弱さを思い知らされるのだ。面白いことに、興奮して射精感がこみ上げてくる時は「今回こそ、すごい快感が来るのだ!」と期待しているのだ。しかし、その期待は、毎回貧弱な快感で裏切られた。


 
もちろん、一日中「女のオーガズムへの劣等感」に囚われているわけではない。射精した直後に「賢者タイム」に入るため、性欲のことはすっぱり忘れる。しかし、しばらくすると、答えは分かっているにも関わらず「男と女の快感はどっちが強いのか」という疑問がまたも頭をもたげる。不治の病と診断されたのに、その現実を否定したい気分とは、このようなものだろうか。そしてまた「女のオナニー動画」をみて射精し、敗北感を確認するのだ。森岡正博「感じない男」によると「感じる女をもっと見たい。それを見ることによって、感じない私をもっと痛めつけたい」という自傷行為であるという。女のように感じることが出来ない自分が「敗北者」であることを自分に突きつけ、自傷の快感を得ているそうだ。真偽はともかく、行動はその通りだった。


 
全ての男が、このような劣等感に苛まれているわけではないと思う。しかし、少なくとも森岡正博は、女への敗北感を自覚している。また、巷でも「男の射精と女のオーガズムはどちらが気持ちいい?」という質問が永遠と繰り返されている。さらに「男の快感は、女の快感の7分の1だ。絶望だ」という書き込みも見かける。やはり「女のオーガズムへの劣等感」に苦しむ男性は、私以外にも意外と多いのではないだろうか。

 


重要なことは、大部分の女は、男が「女のオーガズム」に劣等感を感じていることに気づいていないことだ。オナニーに動画を必要としない女は、男の射精についてパートナーとの経験しか知らない。パートナーの男も、自分と同じ快感を得ていると思いこんでいる。もっともなことだ。



しかし、男の劣等感は決して良い状況にはつながらない。劣等感が自己否定につながり、「快感を感じる女」への敵意につながれば、無差別な傷害・暴行の原因となる。そこまで至らなくても、例えば私のように、セックスの最中に快感で喘いでいる妻を見ても、自分に快感が伴っていないことに気が付き、興奮が醒めるのだ。頭の中で「オナニー動画の女」を想像して、妻の姿に重ねることでしか興奮できなかった。他には、「女に快感を与えたくない」と思って、自分勝手に射精するだけのセックスをする男もいるだろう。

 


男の劣等感をなくすには、女の快感への共感を生み出すしかないと思う。それは射精という、女と全く異なる快感しか与えられていない男にとっては非常に難しいことだ。私の場合は、偶然ドライオーガズムを経験したことで、意識の変革が起こった。短時間であっても、快感が体の中で波打つ感覚を実感したことで、快感に喘いでいる女が、どのような感覚の状態にいるか想像できるようになった。そして、女の快感が、男の射精とは全く異なることを理解できたのだ。そのようなドライオーガズムが簡単に体験できれば良いのだが、男にもともと備わっている感覚ではない。まずは、男性と女性が自分の快感の感覚を言葉で伝えあうこと。そして理解しようとすることが一番ではないかと思う。

 

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